石原徳子のエッセイ 「日本のフランス料理」

先般、紀宮様が御結婚された際、披露宴はフランス料理であった。宮中では明治時代以降、正式な晩餐は和食ではなく、フランス料理と決っており、国の外交行事には全てフランス料理が出されている。このように日本でのフランス料理のルーツは、明治時代の宮中から始まった。 私達にフランス料理が一般に身近になったのは、円が360円から変動相場制になり高くなって、多くの人々が海外旅行に出かける様になった頃からである。 しかし「フランス料理は量は少ないし、値段は高いし、料理を一皿一皿待つのが嫌」という声を私はよく耳にする。もっともな意見である。まずは料理の量の事。よく「フランス料理は大きなお皿に少しの量」と言われている。確かに日本のフランス料理は一皿の量が少ない。私も東京・福岡・熊本などで食べる機会が多いが、量的に満足したのは数える位しかなく、驚くほど量が少ないレストランもある。「これでは若い人は満足しないだろう」と思う事がある。量が少なく値段が高ければ、自然と足が遠のいてしまう。本場フランスでは、こんな事はない。満足する位、もしくは食べきれない位の量があり、味もしっかりしている。 生徒さんを同行してフランス・グルメ旅に行く事があるが、皆美味しい本場の料理に満足して、和食を忘れてしまっている。 日本のフランス料理はどうしてこんなになったのだろう。「日本人は小食だから」と言うシェフもいる。しかしイタメシブームが起ったのは、一つにはフランス料理のシェフ達がお客のニーズをつかみ切れなかった事にあるのではないか。 銀座の予約のなかなか取れないフランス料理のレストランがある。そこに行った時、銀座の土地柄からは信じられない値段とたっぷりの量、その美味しさに人気の秘密がわかった。 ビジネスに「顧客満足」という言葉がある。お客様が満足して初めてリピーターとなる。この「顧客満足」という言葉を、忘れないことが大切である。


投稿日時:2011/3/23 (水) カテゴリー:いしはらのりこのエッセイ


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